前回お届けした、『開発者目線で見る、ShopifyとEC-CUBEの違い【基本編】』では、ShopifyとEC-CUBEの違いについて、基本的なポイントをメリットとデメリットに分けて解説しました。
今回は、より踏み込んでShopifyとEC-CUBEの違いについて比較するために、テーマに焦点を当てて解説していきたいと思います。ShopifyとEC-CUBEではそれぞれ公式のデザインテーマが用意されていますが、両者を細かく比較していくとShopifyテーマのバリエーションの多さが際立ってきます。
【過去の記事はこちら】
開発者目線で見る、ShopifyとEC-CUBEの違い【基本編】
ShopifyとWordPressには共通点が多い
さて、少し前段が長くなってしまいますが、ShopifyとEC-CUBEの違いについてお話を進める前に、まずはShopifyとWordPressの共通点について解説しておきたいと思います。
refactoryではお客様向けにShopifyのサービスを説明する際に、事業者様にも馴染みがある、WordPressとの共通点をご説明しています。
この共通点は、そのままShopifyの強みとして置き換えることができ、ShopifyとEC-CUBEの違いを理解する上でのガイドラインとなってくれます。共通点は、次の4つです。
- テーマが用意されている
- プラグイン(アプリ)を利用することができる
- タグ機能が利用できる
- メタフィールド(カスタムフィールド)適用できる
1.テーマが用意されている
1つ目は、テーマが用意されているということ。
ShopifyとWordPressには、どちらもデザインテーマが用意されています。テーマには無料・有料を含め多彩な種類があり、事業者はテーマを利用することがサイトデザインを簡単にカスタマイズすることが可能です。
2.プラグイン(アプリ)を利用することができる
2つ目は、プラグイン(アプリ)を利用することができるということ。
WordPressは、プラグインを追加することで簡単に機能を追加することが可能です。Shopifyでもアプリが用意されており、機能の追加を手軽に行うことができます。
専門的なスキルやノウハウに乏しい事業者でも、簡単に機能の追加を実施することができ、エンジニアの手を借りる手間を最小限に抑えることができます。
3.タグ機能が利用できる
タグ機能が利用できる点も、ShopifyとWordPressの共通点でしょう。
カテゴリとは別に、記事ごとにタグを付けることで検索の利便性や編集の手軽さ向上させることができます。
また、Shopifyでは商品や顧客にも個別のタグを設定することができるため、顧客管理の面からもタグ機能を有効活用することが可能です。
4.メタフィールド(カスタムフィールド)適用できる
4つ目はメタフィールド適用できるということ。
メタフィールドとは、通常の管理画面では取り込めない特定の管理情報を保存できる機能ので、WordPressで言えばカスタムフィールドに近い機能です。一般的な作業ではあまり目立ちませんが、エンジニアが専門的な作業に取り組む上では利便性が高く、カスタマイズ性を向上させるメリットが得られます。
これもShopifyとWordPressの共通点の1つです。
テーマ機能から見るShopifyとEC-CUBEの3つの違い
さて、ここから本題として、ShopifyとEC-CUBEの違いをテーマに焦点に当ててみていくことにしましょう。
1.Shopifyはテーマの種類が豊富
ShopifyとEC-CUBEには、公式のテーマが用意されており、それぞれ下記のように豊富な種類が用意されています。
- 【Shopify】81種類(テーマストアで取得可能)
- 【EC-CUBE】64種類(ストアで取得可能)
しかし、内容をよく見比べてみると、両者には大きな違いがあることが分かります。
まずShopifyでは81種類のテーマはほぼすべてが違ったデザインとなっており、それぞれのテーマごとに2?4typeのスタイルが用意されています。ユーザーはテーマのデザインはもちろん、スタイルを切り換えることで多様なバリエーションを利用することが可能です。
一方のEC-CUBEには、64種類のテーマが用意されているものの、テーマにはver.が設定されています。これはEC-CUBEのシステムのver.を意味し、自社サイトで利用しているver.に対応していないテーマは利用することができません。
EC-CUBEでは独自のカスタマイズを施していることが多く、ver.を入れ換えるとなると大規模な改修作業が発生します。テーマを変更するためだけに改修作業を実施するのは現実的ではなく、必然的に選択できるテーマの種類が限られてしまいます。
Shopifyは機能とテーマがそれぞれ独立しているため、ver.によってテーマが限定される心配がありません。
こうして比較すると、ShopifyとEC-CUBEではShopifyの方が圧倒的にテーマの種類が多いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
2.エンジニアいらずでカスタマイズできる
カスタマイズ面でもShopifyにメリットがあります。
Shopifyのテーマにはプレビュー機能が用意されており、各テーマを導入した場合のサイト画面を簡単にプレビューで確認できます。先ほども触れたように、テーマと機能が独立した状態となっているため、テーマを変更した際のシステムへの影響を心配する必要がありません。
ここでもEC-CUBEでは、ver.の違いが足かせとなってきます。独自のカスタマイズを実施している場合は、どうしてもエンジニアの存在が欠かせず、セキュリティのアップデートなどでは大変な労力がかかります。
Shopifyはクリック1つでテーマの変更ができることから、エンジニアいらずでカスタマイズが完了できるといえるでしょう。
3.各種アップデートに対応しておりSEOに強い
Googleでは検索表示の評価基準として、サイトの表示スピードを重視しています。2021年6月からは本格的にこの基準を導入しており、テーマを導入する際も、表示スピードの速さが重要な指標となってきました。
ShopifyではOS2.0以降のテーマでGoogleの評価基準に対応していますが、すでに全テーマの約半分にあたる41テーマが対応済みです。今後もOS2.0への対応は進むと見られており、各種アップデートへの迅速かつ柔軟な対応が実現されています。
つまり、検索順位の最適化を目指すSEOの視点からも、Shopifyにはメリットがあることが分かります。繰り返しになりますが、EC-CUBEではシステムのver.にテーマも依存している部分が大きく、迅速さや柔軟さという点では見劣りしてしまうでしょう。
まとめ
今回はShopifyとEC-CUBEの違いについて、テーマに焦点を絞ってご紹介しました。
ShopifyとEC-CUBEのテーマに大きく3つの違いがあり、
- テーマの種類が多い
- エンジニアいらずでカスタマイズできる
- アップデートへの対応が柔軟でSEOに強い
という面で、Shopifyにメリットがあることが分かります。
また、メリットではエンジニアいらずでカスタマイズできるとご紹介しましたが、エンジニアが本格的なカスタマイズを実施する際も、テーマをGithubとの連携することができるため、開発者フレンドリーな環境が整っています。
refactoryではこうしたShopifyの強みを活かしながら、カスタマイズやアプリの開発を実施しています。Shopifyでのサイト構築や移行を検討中の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
次回はShopifyとEC-CUBEの違いについて、プラグイン(アプリ)の視点から解説します。