先日開催された『Shopify COMMERCE DAY 2021』(2021年11月4日)にて、当社エンジニアリーダーの辰野が「MR.ECシリーズの開発について」というテーマでスピーカーとして登壇しました。
今回は、当日にお伝えしきれなかった補足内容を踏まえつつ、発表の内容についてご共有したいと思います。
Shopify COMMERCE DAY 2021とは?
Shopify COMMERCE DAY 2021は、Shopify Japanが開催した事業者・パートナーコミュニティ向けのオンラインカンファレンスです。
同カンファレンスは二部構成で開催され、第一部ではShopify Japanの中の人によるShopifyの最新動向やアプリの紹介、Shopifyパートナーの表彰などを実施。
第二部では、オンラインを通じたShopifyパートナーコミュニティの交流や教育パートナーによる質問の受け付け、アプリ/テーマ開発者が登壇してのパネルディスカッションなどが行われました。
今回refactoryでは、代表の守屋とエンジニアリーダーの辰野がアプリ/テーマ開発者のパネルディスカッションに登壇。「MR.ECシリーズの開発について」というテーマで、発表を行いました。
>>Shopify COMMERCE DAY 2021の公式動画はこちら
パネルディスカッション「MR.ECシリーズの開発について」
さっそく、当日に実施したパネルディスカッションについての内容をご紹介します。今回は「MR.ECシリーズの開発について」というテーマで、MR.ECのアプリ開発において苦労した点を、赤裸々にお話させていただきました。
現場で実際に起こった課題を広く共有することで、Shopifyパートナーコミュニティの方々の知見を広げ、今後の開発や取り組みに役立てていただくことが狙いです。
MR.ECはrefactoryが開発・提供するShopify向けのアプリ
MR.ECシリーズは、refactoryが開発・提供するShopify向けのアプリです。
2021年11月現在、2種類のサービスをリリースしており、それぞれ以下のような特徴のアプリとなっています。
開発段階では、Shopifyによるアプリの審査を通過する必要がありますが、審査のステップは大きく「Review Stage」と「Conversation stage」の2つに分かれています。
しかしMR.ECシリーズの第一弾として開発に取り組んだMR.POINTでは、開発から公開まで約3ヵ月の期間を要してしまいました。時間を要した原因として、Shopifyによる審査をなかなか通過できなかった点が挙げられます。
審査において壁となった海外との言語や商習慣の違い
「Review Stage」では、Shopifyによるアプリの審査が行われます。ここでは、アプリの公開時に掲載される説明文や管理画面の設定などを実施しますが、複数回にわたってreject(申請拒否)の返答が届きました。
すべての項目をきちんと満たしているにも関わらずなぜrejectが届くのか…社内で課題を検証したところ、2つの仮説が浮上しました。
1つは、海外との言語の違いです。今回MR.POINTは日本のユーザー向けのアプリとして開発・申請を行いました。そのため、アプリの説明文も日本語で掲載していたのですが、これをShopify側で審査する際、Google翻訳を利用してチェックしているのでは?と推測されました。
そこで自分たちでもGoogle翻訳を利用して英語に翻訳してみると、文章がきちんと翻訳されておらず、文章として成り立っていないことが分かりました。
また、もう1つの原因が商慣習の違いです。日本では馴染みのあるポイントサービスですが、海外で広く定着しているとはいえません。そのため「Point」という表現が「要点、点」といった意味に受け取られており、審査する側が疑問を生じたのでは?と考えました。
以上2つの原因を解決するため、日本語の説明文を作成する際にGoogle翻訳を併用しながら、英語でも不自然でない表現になるよう文章を作成。また「Point」という表現も「Reward point(ポイント還元)」という文言に置き換え、再度申請を行うことで、無事Review Stageの審査を通過することができました。
管理画面の詳細な説明や速度のパフォーマンスも審査対象に
言語と商慣習以外の課題として、Shopifyからはレビュアー向けの詳細な解説文と動画を提出するように求められました。
これは、管理画面の操作など細かな部分まで必要となるため、今後審査を検討しているパートナーの方々は、レビュアー向けの解説文と動画の作成に備えておく必要があります。
また、ShopifyではSEOの観点からサイトの表示速度を重視しています。審査において、アプリを導入し表示速度のパフォーマンスが10%以上低下するものは、NGという基準が設けられています。審査時にも、アプリの導入前と導入後の速度パフォーマンスのキャプチャの提出が求められることも追記しておきます。
Conversation stageでの審査ではレビュアーとのコミュニケーションが重要
審査における2つ目のステップにあたるConversation stageでは実際にShopify側のレビュアーとメッセージのやり取りをしながら審査が行われました。
ここで課題となったのが、レビュアー側とのコミュニケーションです。今回refactoryの審査を担当したレビュアーの方は、比較的PCの操作に関するリテラシーに乏しい方でした。そのため、
- ダウンロードの仕方が分からず動画が再生されない
- 会員機能を無効にしていて会員登録ができない
といった問い合わせをいただき、基本的な操作の説明が必要でした。また、日本語と英語での会話となるため、Review Stageでも課題となった言語の違いがコミュニケーションをより難しくさせてしまいました。
複数回のやり取りでConversation stageの審査も通過することができましたが、レビュアーのリテラシーに合わせて、エンジニア目線ではなくユーザー目線での解説を行える柔軟性が必要となる点も、今回の審査で得られて学びの1つです。
MR.POINTでの学びを得たことで、第二弾アプリとなるMR.DAIBIKIの審査はスムーズに実施することができ、10日程度で通過することができました。
まとめ:Shopify COMMERCE DAY 2021に参加して・今後の展開
今回は、Shopify COMMERCE DAY 2021で実施したパネルディスカッションについて、補足内容も踏まえつつご紹介させていただきました。
当日は約80名の方がライブでご視聴をいただき、ディスカッション終了後にはアプリへのコメントやダウンロードが増えるなど、ポジティブな反応を多くいただきました。また、多くのパートナー様との交流を深めることができ、貴重な学びを得ることができました。
今後もrefactoryでは、Mr.ECでの新規アプリの開発に取り組んでまいります。また、現在は新たな試みとしてShopifyのテーマ開発を実施しています。テーマデザインでは、写真家/映像作家のピーター・サザーランド氏に監修いただき、皆さまにご満足いただける魅力的なテーマになるよう制作を進めています。
最新の情報は当サイトで発信していきますので、続報をぜひ楽しみにお待ちください。